取り壊し解体工事費用の仕訳・確定申告について

所有している建造物を取り壊して、解体工事を行う場合、その建造物の取り壊し解体工事費用の経理上の仕訳について、どのように税務処理をすれば良いか、わからない場合が多いようです。

建造物の規模や状態によっては、解体工事の費用は大きな出費となるために、店舗などを運営する法人の仕分処理や個人の確定申告など、正しい方法で取り扱うことが必要です。

以下、個人と法人に分けて例を挙げますので、ご参考にしてください。

1.個人(個人事業)の確定申告における解体工事の出費・処理

一般個人の方が現在居住している住宅や所有している建物を解体して更地にする場合の例

土地の取得費=購入費用+解体工事費用

建物が建っている土地を2000万で購入して、その後、取り壊すことにした場合、解体費用100万がかかったとすると、考え方としては、合計2100万として、解体工事費用も土地の取得費に加算することになります。

購入してすぐに解体して建て替えするのではなく、しばらく住み続けてから取り壊すという場合でも同じ考え方になります。

解体費用はその物件を売却したときに土地の取得費として計算されます。解体工事に出費した費用は土地の取得費に加算して考えるため、土地を売却した際の税金の計算で考慮します。

一般個人の方でも、商売を行なっている個人事業主の場合でも考え方・処理の仕方は同じで、土地建物を固定資産として購入し、土地は減価償却もできません。解体工事に出費した費用は、事業の経費として処理されるものではなく、『土地の取得費として計上され、該当物件を売却したときの税金(譲渡所得税)に影響する』と覚えておくと良いでしょう。

2.法人の財務諸表・決算における解体工事の出費・経理処理

法人が不動産を所有し、解体工事を行なう場合の処理も個人の場合と同様の仕訳・勘定科目となります。土地という資産を購入しますので、勘定科目は土地となります。

法人の場合においても建物の取り壊しに伴う解体工事業者への費用は、経費として計上するのではなく、その不動産の取得費として計上し、売却した際の処理に影響を与えるものになります。

注意点

現在の法令に則して、国税庁のサイトに、以下のような記述がありますので、注意が必要です。

初めは建物を事業に使用する目的で取得したが、その後やむを得ない理由が生じたことにより、その使用をあきらめなければならないような場合には、その取得後おおむね1年以内にその建物を取り壊したときであっても、その建物の帳簿価額と取壊費用の合計額は、土地の取得価額に含めないで、取り壊したときの損金の額に算入することができます。

法人の財務諸表において、解体工事に支出した費用をどのように仕訳をするか、その勘定科目については、店舗などの現状復帰に戻すなどの場合は固定資産除去損などが挙げられますが、場合によってどう仕訳すべきか判断が難しい場合がありますので、詳しくは、顧問の税理士に相談することをおすすめします。

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