建物の解体工事のゴミはどう処分する?一般廃棄物と産業廃棄物の処理・業者へ依頼

建物の解体工事は、新たな建築や土地の有効活用を目指すうえで必要不可欠な工程です。しかし、解体後には大量の廃棄物が発生し、その処理方法や費用について正しく理解していないと、予期せぬトラブルや追加費用が発生することがあります。
特に個人や法人が所有する建物を解体する場合、法律上の責任や処理業者の選定において慎重な対応が求められます。
今回の記事では、建物解体時に発生するゴミの処分方法、分類、費用、そして注意点について詳しく解説します。建物所有者として、適切な解体・処分を行うための知識を身につけておきましょう。
建物解体の際のゴミ処理の方法
解体工事で発生する主なゴミの種類
- 木材(柱、梁、床材など)
- コンクリートやアスファルト
- 金属類(鉄筋、配管、建具など)
- ガラス、陶器類
- プラスチック製品
- 断熱材や石膏ボード
これらの廃材は、解体工事の過程で分別し、それぞれ適切な方法で処理されます。廃棄物の適切な分別は、リサイクル率の向上と処理コストの削減にもつながります。
分別解体の重要性
建設リサイクル法により、一定規模以上の解体工事では廃材の分別が義務付けられています。
これにより、リサイクル可能な資源の有効利用が推進されており、環境負荷の低減にもつながります。たとえば、再生砕石として道路工事に再利用されるコンクリートがらや、木材チップとして活用される木くずなど、循環型社会の形成に貢献します。
一般廃棄物と産業廃棄物の処理はどうする?
廃棄物の分類
- 一般廃棄物:家庭系のゴミや、オフィスから出る紙類、少量の廃プラなど
- 産業廃棄物:解体工事で出るコンクリートがら、木くず、ガラスくず、金属くずなど(事業活動に伴って発生する)
処理方法の違い
- 一般廃棄物は、市町村の処理施設で処理されることが多く、処理責任は排出者(建物所有者)にあります。
- 産業廃棄物は、専門の産廃処理業者に委託する必要があり、処理責任は業者選定を含め、最終的に建物所有者が負うことになります。
【一般廃棄物と産業廃棄物の違いとは?各廃棄物の例・処理の注意点】はこちら
一般廃棄物 自分で捨てる家庭ゴミ処分の方法
一般廃棄物は、市町村の処理施設で処理されることが多く、処理責任は排出者(建物所有者)にあります。処理の方法としては、市町村の指定する一般廃棄物処理業者に収集・運搬・処分を委託するケースが一般的です。事前に市区町村の役所や環境課に問い合わせ、どのような廃棄物が一般廃棄物に該当するか、どういった方法での処理が可能かを確認する必要があります。
また、家具や生活ゴミなどの大型ごみが含まれる場合は、粗大ごみとして別途申し込みが必要であり、指定の処理券を貼り付けたうえで収集日を調整します。個人で搬入できる処理場も存在するため、事前予約のうえで直接搬入する方法もあります。ただし、解体工事に伴うゴミの多くは産業廃棄物に分類されるため、一般廃棄物として処理できる範囲は限定的であることに注意しましょう。
許可業者の確認
産業廃棄物の処理を依頼する際は、都道府県から「産業廃棄物収集運搬業」「産業廃棄物処分業」の許可を受けた業者であるかを必ず確認しましょう。
許可証の有無や有効期限をチェックすることで、不法投棄などのリスクを回避できます。
解体工事業者への処分依頼は可能?
業者による一括対応
ほとんどの解体工事業者は、解体作業とあわせて廃棄物処理も一括で請け負っています。
業者依頼のメリット
- 手間の軽減:分別や搬出、業者手配などの手続きが不要
- 法令遵守:産業廃棄物の処理に関する法律に基づいた対応
- 適正な処理:マニフェスト管理によりトレーサビリティの確保
マニフェスト制度の活用
産業廃棄物を委託処分する場合、マニフェスト(産業廃棄物管理票)により、処理の流れを記録・管理する必要があります。解体業者がマニフェストを適切に運用しているかどうかは、信頼性を判断する重要なポイントです。
なお、電子マニフェストの導入により、手続きの簡素化や迅速な追跡が可能になっており、今後さらに普及が進むと見込まれます。
ゴミ処理の一般的な費用・相場
廃棄物ごとの費用目安(1立方メートルあたり)
- 木くず:5,000~8,000円
- コンクリートがら:8,000~12,000円
- 石膏ボード:10,000~15,000円
- 混合廃棄物:15,000~25,000円
解体費用に含まれることが多い
実際の見積もりでは、解体作業費用と廃棄物処理費用がセットで提示されることが多く、「坪単価」形式で提示される場合もあります。
平均的な木造住宅(30坪)の解体であれば、総額150万円~200万円程度が相場です。ただし、都市部では人件費や処分費用が高くなる傾向があるため、相場を確認することが重要です。
地域差や季節要因にも注意
廃棄物の処理費用には地域差があり、都市部や処理施設が少ない地域では高額になるケースもあります。また、年度末(3月)や秋口など解体工事が集中する時期には費用が高騰する場合があります。
ゴミ処分の際の注意点
無許可業者の利用は厳禁

産業廃棄物の収集運搬・処理には、都道府県知事の許可が必要です。許可を持たない業者に依頼すると、不法投棄などのトラブルにつながる恐れがあります。また、施主側にも責任が及ぶ可能性があるため、契約前に業者の許認可情報を確認しましょう。
見積もり内訳の確認
廃棄物処理費用が「一式」で記載されている場合は注意が必要です。内訳を確認し、廃棄物ごとの数量や単価が明示されている業者を選ぶと安心です。複数社から相見積もりをとることで、費用の妥当性も見極めやすくなります。
アスベストなどの有害物質
築年数の古い建物では、アスベストを含む建材が使用されている場合があります。専門の処理が必要となり、費用も高額になります。
アスベストの有無については事前調査が必要であり、法律により調査・報告が義務化されている場合もあります。
まとめ
建物の解体工事に伴う廃棄物処理は、法律と環境配慮の観点からも非常に重要な工程です。一般廃棄物と産業廃棄物の違い、処理方法、費用、注意点を理解しておくことで、スムーズかつ適正な解体が実現できます。
解体工事業者に一括で依頼することで、手続きや法令対応の負担も軽減され、安心して建物を解体することが可能です。